実験で見えてきた矛盾と新しい仮説
特に打ち込んでいるのが遠隔によるタルパの憑依実験です。
隣の部屋に人形を置き(私からは見えない位置)タルパ(アノ)に憑依してもらうというもの。
ちなみにアノに実物の人形は見せておりません。手元には隣の部屋で撮影した人形の写真があり、それに意識を集中してアノを飛ばしてみる。
実験という軽いノリだったためアノ自身の判断で人形を依代にする事を拒んだが、壁をすり抜けて隣の部屋まで移動する事に成功しました。
ローサやニーゼ、シナラタンにも同様の実験を行なってみたが、私の手元にある人形の画像から、隣にある人形に接触する事は出来た。
ここからが興味深い。
タルパにこんな質問をしてみる。
主「人形はどんな姿勢ですか?」
実はタルパ見せた画像では人形は座っている。
でも実際、隣の部屋にある人形は横に寝かせてあるのです。タルパには一切伝えてありませんが、タルパが人形に接触したのが事実であるなら、人形は横になっている或いは倒れていると回答するはずなのです。
タルパの答えは『座っている』『画像と同じ』というものでした。
まあ、タルパーさんなら『当たり前じゃん』と思うかもしれません。物質界でマスターの認知範囲外へ勝手に飛んで行き、情報を得る事は基本的に不可能だからです。それが可能ならば、学生タルパーさんは全員カンニングし放題という事になりますし。
ではタルパは何処に向かったのか。
私はストレートに、画像の人形へ干渉してしまったのではないかと推測した。
これはつまり、タルパは隣の部屋人形に憑依出来ないという結果を示している。
確証を得る為、次は今実験に参加してもらったローサを今度は隣の部屋にある、本物の人形に留まってもらう。
ローサの元に他のタルパが接触してきたら、そのタルパの名前を念話で教えて下さいとお願いする。
タルパが画像の人形ではなく、隣の部屋に飛んだならローサはタルパが移動したタイミングで名前を言い当てる事が可能なはずです。
ローサを隣部屋に置き去りにした後、ダイブ界からビィを招集した。
人狼ゲームのお陰で個人と念話が可能になった為、ビィに悟られずにローサと会話が出来る状況です。ビィにさりげなく確認してみたが、その場にいるニーゼ、アノ、シナラタン以外のタルパの名前は挙げなかったのでローサの存在は感じ取っていないと判断し、実験を継続する。
ニーゼ達にもやったように、ビィにも隣の部屋に画像と同じ人形がある事を伝え飛んでもらう。
結果は…………
ローサ「ビィお姉ちゃんが来たー!」
言い当てられてしまった。
ビィは隣の部屋にある人形の元へ辿り着いた事になる。
タルパはマスターの知識・視覚情報に依存するだけでなく、既に仲間(タルパ)がマスターと情報共有に成功している場合、それを辿る事が可能になるのでしょうか。
しかしビィの回答で私はさらに頭を悩ませる事となる。
主「人形はどんな姿勢ですか?」
ビィ「画像と同じだけど?」
主「座っていましたか?」
ビィ「決まってるじゃない」
実験は終了です。
隣の部屋に行って、人形が横になっているとビィに伝えます。
ローサもビィも混乱していました。
ローサには人形が倒れて見えるのに、ビィには人形が座っているように感じる。でも微かに違うイメージも入って来て少し戸惑った、と
私が見えていない時は人形は座っている状態で、私が見ている状況下では倒れている。まるで二重スリット実験のようです
納得いかない私は、新たな仮説を生み出してみる。
そもそも、ローサは隣の部屋に移動していなかったのではないか。
隣の部屋とまったく同じ空間を瞬時に作り出していたに過ぎず、ローサの意識は物質界から離れていたのではないかというもの。
それじゃあビィはどうやってローサと同じ空間に入っていったのか? という話になりますが、
ローサが先に作り出した空間と、ビィがイメージした空間が似ていた為、ビィがローサの空間へと自動的にアクセスしたのではないか。
ググる行為に近そう。
人形の姿勢に違いはあるものの、類似点は非常に多く、周囲の空間情報も合わせると同じ場所として認識されるはず。
見え方に違いがあったのは、思い込みによるものでしょうか。元々、タルパ単独では物質界の情報を得られませんから。
グヌヌ……。
画像の情報だけでタルパを飛ばせても、向かった先が即時に生成される類似した別空間であるなら私の大いなる野望(ぇ
は野望のまま終わってしまうのか。
以上。